誰かが、イチローが今シーズン中に間違いなく達成するであろうある記録について訊いた――日本人選手としての通算最多安打記録だ。その質問に答える前にイチローは苦笑いを浮かべた。なぜなら、それは日本プロ野球とMLB、両方での安打数の合計から成る記録だからだ。
「日本の人たちは『おい、それは日本記録じゃないよ』って言うし、アメリカ人は『おい、それはMLB記録じゃない』って言う」とイチロー。「だから僕としては、『じゃあ、どうぞ皆さんのお好きなように。僕には関係ないことだから』と言うしかない」
シアトルに来て以来、これまでに何回も訊かれ続けてきた質問を、イチローはまたもや訊かれた・・彼はマリナーズのチームリーダーの役割を担うべきなのではないのか、というものだ。
「僕は、WBC日本チームでもリーダーではなかった」とイチローは言う。「重要なのは、リーダーを置くかどうかではない。重要なのは、選手としても人間としてもレベルアップしたいという向上心をしっかりと持っている選手たちを集めることだ。それが重要なこと。『さあ、みんな、このリーダーについていきなさい』と言うのが簡単な解決策のように聞こえるかもしれない。でも、リーダーを選んで他の選手たちにそのリーダーについていかせるのが根本的な解決策だと思っているような人たちは、そういう思考回路を変えたほうがいい。確かに、自然発生的にリーダーが出てくるのはいいことだ。でも、誰か1人を人為的に決めるのは正しいやり方ではない。 自分達の目標がなんであるかも、何が正しいことなのかもわからないような人間たちの集まりならば、チームリーダーも必要だろう」と彼は言う。「でも、ここはメジャーリーグだ。我々は、もうそんな低いレベルにはいないはずだ。」
そんな会見の途中のある時点で、グリフィーがフラッと現れて集団の傍で言葉のやり取りに耳を傾け始めた。ちょうどその時、ある記者(注:シアトルタイムスのベーカー記者)がイチローにこう質問した: プッツやリグルマンがそれぞれのインタビューで示唆したように、イチローも、チームの勝利に貢献するためにもっといろいろできると思っているか…?と。
「くだらねぇ質問だな―」とグリフィーがわざと聞こえるように独り言を言う。「101試合も負ければ、色んなヤツが色んなことを言うさ。その連中はまだここにいるのか?」
具体的にどういうことを自分がすればいいと他人は思っているのか、具体例をいくつか挙げてほしい、とイチローがその記者に訊くと、記者は、「チームメート達と話をして、なぜイチローが他の選手たちとは違うふうに色んなことをするのか説明してあげたり―」というようなことを答えた。
イチローは困惑したようだったが、それでも答えた。
「ここはメジャー・リーグだよ。ここにいるのは全員がプロだ。それなのに、僕がどういう理由でいろんなことをしているのか、いちいち説明してやらなくちゃいけないような、ほんとうにそんなにレベルの低いところなのかい、ここは?」と彼は訊く。「僕等は全員がプロだ。それなのにそんなことをしなくちゃいけないなんて、まるで母親が子供に向かって『ママがこういうことをするのは、こういう理由でなのよ』って言っているような気持ちになる。 プロって言うのは、周りを観察して、他人が何をやっているかをじっと見て盗んだり学んだりするものなんじゃないのかい?それがプロっていうものなんじゃないのかい? あまりにもバカバカしくて、こんなことに時間を取られるのは勘弁してほしいね」とイチローは言う。「驚いちゃうね、ほんとにビックリだ」
傍で聞いていたジュニアーも首を振りながら言う、「オレはむしろ、君が(こんな質問に)答えたことにビックリだよ」
イチローがグリフィーの方を見て、2人は一緒に微笑んだ。】(以上)
暇なのでイチローの記事を載せてみました。
おやすみ